「私のあと残りの人生には、煙草と本があればいい」
あの人が持ち運ぶものは、その二つだけ。
それでどこにだって行けるだろうと。。。
親友にこのことを話すと、「みんとちゃんはそれでいいわけ?」と
心配をしてくれたりしていましたが、
私はその言葉を聞きながら、なんだかあの人らしいなあ。。。と
何故か笑ってしまっていました。
余計なものをそぎ落として、たくさんの欲望を捨て
ただ穏やかにいろんな戦いから離れてこうやって生きていくこと。
私はそうやってこの人が大好きな野球の近くに
いられるように、そばで見守っていけることが
私の残りの幸せかもしれない。
そして、こうやって私も本を読む。
映画を観る。
スポーツに感動する。
そして子供の幸せを願い、母とお茶を飲む。
友と笑い語らう。
角田光代さんの「さがしもの」を読了。

角田さんは女流作家でも3本の指にはいるくらい好きな作家さんです。
この方もうちのダンさん同様、何も食べなくたって
本を読んでいれば幸せな人なんだなあと思う人。
以前、インタビューでネパールでつい手にした本を読んだ後に
古本屋で売ったあと、数年後、中東のある国の路上で見つけたという
話をしてらしたことがあるのですが、そのことを元に9つの小品集を
書かれていました。
旅する本。。。
なんてステキな言葉なのでしょう。
私がこの中で好きな短編は、「彼と私の本棚」
本がきっかけで付き合い一緒に暮すことになった二人が
別れることになる。
そして荷物をまとめて二人が暮らした部屋から彼女がでるときに
二人が読んだ本を片付けていく話。
これがとてもおもはゆく、せつない。
彼が他に好きな人ができたので、もう一緒に暮せないというと
彼女が・・・
「その人、本を読むの?」と口にするところ。
じんわり心にしみて、最後で一気に泣けました。
”びょおびょお”と泣く。
こんな感じ。
恋と本、そして喪失感の大きさが、本棚が示しているところ。
角田さんの等身大の言葉が心を揺らしていきます。
そして、ポール・ギャリコの「雪のひとひら」
女の一生が、冬のある日に空から舞い降りた雪のひとひらの
一生となぞらえて、実にピュアに繊細に描かれていく物語です。
女が生まれ、恋をし、結婚をし、子育てをし、年をとり、老いて
死んでいく。。。。
私が泣けたのも、夫の雨のしずくとの別れのシーン。
いかなる理由あって、この身は生まれ、地上に送られ、よろこび
かつ哀しみ、ある時は幸いを、ある時は憂いを味わったりしたのか
女の人生がひとひらの雪に重なります。
美しい珠玉の言葉が翻訳の矢川澄子のことのはで表現されます。
心が打ち震えるほど美しくはかなげで素晴らしい言葉の数々。
素晴らしい翻訳をされる矢川さんです。
ラスト、あたたかく柔らかな気持ちに救われます。
装丁の絵もステキです。

ずっと気に入って履いていたマノロの靴がコンクリートに
ひっかかってやられてしまいました。
甲のところがパラリと開いてしまい、何度かリペアに出したのに
やっぱりお釈迦に。。。(涙)
今夏のお話です。
なのにうちのダンさんが覚えてくれていて、先日、外商さんに
頼んで買っておいてくださったそう。。。
カットのラインが前のと変化し、色も黒だったのですが
今回は濃紺です。若干素材が違うところもありますが、
間違いなくこのデザインです。覚えてくれてたのね。。。
というか、どのようにあの人が頼んだのでしょう?(笑)
>それは聞かないでおきましょう。

バックストラップがずれてくるので、滑り止めを補強して
もらいにデパートに伺ってまいりました。
大事に大事に履かせていただきます。
背筋を伸ばして、頑張ります。
本当にありがとう。