2008年07月11日

「山桜」藤沢作品の優しいまなざしあふれる佳作です。

わーい!!今日は休日出勤のかわりに半休で早く帰れてウレシイー♪

藤沢周平、池波正太郎の世界というのは
私の中では、かなり距離感のあるものでした。

うちのダンさんや母がいくら熱烈なお二人のファンだと
言っても中々興味がもてずつい華やかなハリウッド映画や
アイロニー漂うフランス映画に惹かれてしまったものでした。
しかし、NHKドラマで内野聖陽さんの「蝉しぐれ」でガツン!
NYにいく機内で真田広之さんと宮沢りえさんの静かな演技、
そして舞踏家の田中泯さんのすさまじい演技に息を飲んだ
「たそがれ清兵衛」で思わず引き込まれてしまっていたのでした。
山桜1.jpg
「武士の一分」以来の藤沢作品ということで、見落とさないようにと
「山桜」を観てまいりました。

いつもながら思うのですが、日本映画というのは特に根底に流れている
遺伝子やら歴史的背景やら感情のひだが似通ったところを見つけると
どわーーーっと涙があふれるシステムになるようです。
だから、日本人のジャストミートポイントを知っている経験地の高い
映画監督というものは名監督といわれるのでしょう。

セリフが少なくとも、どこか郷愁を誘う風景や湿度感、そしてその
映画を観ているときの感情で、ゆるゆるっとなってします。
だから、あーー、こんな光景泣いてしまうなあ。。。と
思ったら私は監督の思惑どおり泣いてしまっておりました。


特に、冨司純子さん演じるお母さんとヒロイン田中麗奈演じる
野江さんの2ショットシーンは、結構ぐっときて泣きました。
「あなたはほんの少し、(幸せの)遠回りをしただけですよ」
この言葉で号泣。。。
なんだか、いろんな自分の感情と重なる瞬間でした。
山桜2.jpg
藤沢作品の舞台はいつもこのひなびた田舎、山形の「海坂藩(うなさかはん)」
東山紀之演じる若武者に縁談を申し込まれた野江さんですが、
剣豪ときいて粗暴な人と思い込み、その縁談を断ってしまいます。
しかし、その後不幸な結婚をした野江さんは、墓参りの帰りに美しく咲いた
山桜を目にし、一枝手折ろうと手を伸ばしていたところへ、
ひとりの武士が現れ、かわりに手折ってくれた。
それが東山くんの武士。心優しく気遣い、やわらかな物腰に好感をいだき
恋心が芽生えます。

この婚家が絵に描いたようにイヤな家で、小侍のくせに金貸しをし
暴利をむさぼり、姑は嫁にきつくあたりこき使います。
なんでそこまでガマンするの???
と思うくらいですが、献身的に「嫁」をする野江さん。
そういう時代は実はつい最近まであったのですよね。
結婚も、相手の顔もみないで親が勝手に決めてしまった時代
なので、野江さんがあの時縁談を断らなければよかったのに。。。
というのも空論ですね。

監督は「地下鉄(メトロ)にのって」の篠原監督。
ノスタルジックな映像が印象的な監督ですが、
藤沢作品を基本に忠実に丁寧に撮っておられるように思いました。
しかし藤沢周平というネームブランドに決して甘えることなく、偽りの
正義に立ち向かい義をつらぬくいつもの藤沢ワールドの精練と
生きる武士を描き、たおやかな女の小さな幸せをみつめて
描いています。
はがゆいまでのプラトニックでストイックな恋愛を縦軸に、
市井に生きる田舎武士とその周りの人々の人生の本当の意味での
豊かさとは、思いを貫く強さだと感じさせた映画でした。

山田洋次監督の藤沢3部作と比較されることが多いと思いますが、
静かなストーリーの中で達者な役者が丁寧に誰一人個性を主張するのを
あえて控えているように感じました。
田中麗奈さんは、離縁される不幸な嫁にしてはまだ若いかなーと
いう感じは否めないものの目や指の先まで懸命に仕える嫁を
しっかりと演じていました。彼女は蒼井優さん同様、スクリーンのほうが
水を得た魚のようにイキイキしていますね(^^)

参りました!

東山紀之演じる武士「手塚弥三郎」の美しいこと!!
凛々しく、気骨のあるまさに藤沢ワールドから抜け出たそのままのよう。。。
殺陣の振る舞いもしなやかで、引き手の所作が美しい。
東山さんのこのスキのない美しい姿と、それでいて柔らかな包容力ある
演技でほぼこの映画は完成されているように思いました。

私は「活字」が無条件に好きなので、同様に大事にし愛する人も
大好きです。
(だから、「本も雑誌も読まない〜、情報は全てインターネットから」と
言われてしまうと残念だなあと思ってしまいます。)

藤沢作品も池波作品も、司馬遼太郎作品も、その活字の中に風も雨も
土の匂いもただよってきます。
池波正太郎先生の「剣客商売」の主人公の年の離れた嫁が畑から大根を
選び土を井戸でゴシゴシ落とすシーン、穴子をたらいからとってきて
ガリガリと包丁でさばくシーン。
土間で鉄鍋がシュンシュンと鳴っている様子の中で、おはるがネギを
刻むところを読んだだけで、あぁなんて心豊かな素晴らしい夕餉の支度だろうと
思うのです。
>あ、ヘンかもしれません、わたし(笑)

そんな文学と映像が見事にお互いを尊敬、尊重しあいできあがった
素晴らしい文芸作品にしあがっていると思いました。
是非、ご覧いただきたいです。(^^)

★映画のツボ〜ちょっとネタばれ
・東山くんの「手塚」の家紋が山桜。
 最後にきていた、麗奈ちゃんの着物も優しい、あなたをお待ちしますと
 いう気持ちがいっぱいふくらんでみえる山桜でした。
・とにかく山形庄内地方の四季折々の風景が素晴らしい。
 日本にもまだまだこんな素晴らしいところがあるんだと思うと心が
 晴れやかになります。日本の山並みの稜線の美しさはきっと日本人しか
 わからない感情でしょうね。
・「山桜」は散るときも花がひらいたまま、そのまま散るそうです。
 花ことばは「あなたを思い微笑みを」だそうです。
 藤沢先生はご存知だったのでしょうか。(^^)
posted by mint2 at 16:47| 兵庫 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 映画&ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
先日は私のブログにコメントを残して下さり、ありがとうございました。改めて、更新がんばろうと奮い立ちました(^^)。
18歳のお嬢さんがいらっしゃるとは思えない様なかわいらしい文体に思わず顔がほころびました。
私も藤沢さんや池波さんの作品、好きです。DVDやテレビでやっていると見てしまいますね〜。
こちらでは限られた日本番組しか見れませんので、特に時代劇は見逃せません!

これからも時間があればちょくちょくお邪魔させてくださいね。

Posted by koeppl at 2008年07月11日 22:47
わーご覧になったのですね〜♪
これはちょっと自分の仕事がらみなので(直ではないのですが)・・読んでとっても嬉しくなってしまいました!
私もチケットは手元にあるのでそのうちゆっくりと観るつもりで〜す^^
>庄内地方の四季折々の風景が素晴らしい
そうなんですよ〜〜(喜)さすがmintさん♪
出羽三山にぐるりと囲まれた広大な平野と山からの伏流水がそこかしこに流れていて、、素晴らしいとこです。
私は藤沢作品はあまり詳しくないんですが(映画蝉しぐれは観ました♪)、作品にあるような、奥ゆかしく芯が強い庄内人気質というのは、今も受け継がれているようで、人もとってもいいんですよー^^。
Posted by みいこ at 2008年07月12日 00:30
koepplさま
こちらこそ、私の稚拙なブログにお越しいただき
恐縮しております。
海ちゃんがとっても愛らしくて心が和みました〜(^^)
眠いし、自分を見つめる時間も少なく疲れもなかなか取れない時期だと
思いますが、ご主人と二人三脚、お二人で何度も話し合って海ちゃんの
健やかな笑顔の為に頑張ってくださいね〜。
私も心から応援しております。

山桜もとても美しく日本人として誇りに思う風景でした。
藤沢先生の目線はいつも地道に自分の気持ちに正直で懸命に生きる人に
向いています。そういうのがちゃんと描かれていたとても素晴らしい映画でした。
冨司純子さんがとてもよかったです。
是非、DVDでご覧になってくださいませねー。
私もまた遊びにいきますねー。
Posted by mint2 at 2008年07月12日 21:55
みいこさん♪
この映画のエンドクレジットを必死で観てしまいましたよー(笑)
やっぱり関わっておられたのですねー。さすがとても素晴らしいお仕事をしておられるみいこさんです。(^^)
とってもいい映画で、翌日、母もあわてて映画館に駆け込んでいました。
藤沢ファンの母も感動したわーと早速叔母に薦めてましたー。

伏流水があるんですね〜。素晴らしい山、河の風景。
じっくりとカメラさんが撮られたんだなあと
感動しました。
庄内に益々行きたくなってる私たち親子です。
その際も相談しますのでいろいろ教えてくださいねー。
Posted by mint2 at 2008年07月12日 22:09
mintさん、こんばんは。
「山桜」とっても魅かれる映画でしたが、mintさんのところで拝見して、
ますます行きたくなりました!
ソメイヨシノの華やかさはないけれど、山桜の可憐で
やさしい姿は、本当に素敵ですね。
おきゃんなイメージが強かった田中麗奈さんが、
我慢強く献身的な日本の妻を、どんな風に演じているのか
とても興味があります。。
やっぱり観に行かないと…でしょうか。。(笑) 
Posted by Y-Moonlights at 2008年07月13日 00:14
moonlightsさま♪
いつもお優しいコメントを有難うございます〜。
moonlightsさんなら、絶対「山桜」のよさをしみじみ感じとってくださると
思います。どっしりとしていながら優しく庄内で生きる人々を見守る包容力を感じさせる
山の美しさ、桜のたおやかであり凛としたヒロインを
思わせる山桜。
とっても感動しました!
>おきゃんなイメージが強かった田中麗奈さん
そうなんです!
麗奈さんはCMでハツラツとしていてかわいーと
いう感じが強かったのですが、とってもいじらしくて
涙を誘いましたー。
イチオシは東山さんなんですけどね!(笑)
是非、映画館でー!!
Posted by mint2 at 2008年07月13日 16:04
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