今日は、神戸元町の映画館「神戸シネリーブル」さんは
レディスデーです。
夕飯の支度も必要なくなったのでぽっかり空いたこんな日は
一人でのんびり映画でも。。。と行ってまいりました。
フランスとベルギーの合作映画
「地上5センチの恋心」です。

アラフォー、アラサーのお嬢様方。
思いきり私のようなオーバーフォーティーな奥様。
そして、恋をしている人。
恋をしていない人。
恋に恋をしている人。
恋を少しだけ忘れかけている人。
是非、観てくださいっ!!!サングラスをした女。どうやら恋人にでもなぐられたような
目に大きなアザをつくっている女が、デパートの化粧品売り場
でいうのです。
「ドアにぶつけてこんな風になってしまったのだけど、
これを隠すメイク商品はないかしら?
「とんでもないドア(男)もいるものね。でも一番いい方法は
食料品売り場の羊のお肉を買ってその目を冷やすことよ。」
そうです。
ヒロインは、この人の心に優しく溶け込むようにアドバイスを
してくれる
癒しのおばさん店員のオデットです。
10年前に夫を亡くし、ゲイの息子、学歴はあるのに働かず
オシャレもしないで足の臭いヘンな男と暮らす娘がいます。
彼女の楽しみは、ハーレクインのようなロマンスたっぷりの
小説を読み、空想にふけること。そしていよいよ憧れていた
この小説家バルタザールのサイン会に行くことに・・・。
少女のようにウキウキとオシャレをし、初恋の人に会うときの
ように心も足も跳んでしまいそうなオデット。
しかし、バルタザールは女好きの流行作家。そしてライバル作家に
酷評され、自分の才能の限界と美しい妻、パリの大きなアパート
別荘をもち幸せなはずなのに、どこか満たされない思いを抱いて
いました。
あるとき、こんな繊細な流行作家のバルタザールはライバル作家と
妻が浮気をしていることを知り、ショックを受け自殺を図って
しまいます。命は助かりましたが、ウツ病と絶望感で病院を
抜け出します。そして、偶然ジャケットにはいっていた
ほったらかしのオデットのファンレターを読むのでした。。。
全く接点のない、人気作家と一読者ファンという二人がそこから
心を通わせていくのですが・・・
このカトリーヌ・フロ演じる「オデット」のかわいいおばさんが
ステキなのです。

落ち目のバルタザールが描く本を読むことで生活に追われ希望も
なくなりかけていたオデットの心に灯りをともし、恋する心を
ずっと持たせてくれたこと。
でもそんな憧れの人が現実に自分の目の前にあることで、現実と
ファンタジーのバランスが崩れていくことに戸惑っていきます。
バルタザールは、教養もなくウィットにとんだ話をするでもない
彼女から癒しと自信をもつ力をもらっていくのです。
オデットは、決してセレブリティではないけれど
小さな幸せを生活の中から見つけ出す豊かな心と
揺るがない価値観、そして家族愛があふれています。
恋が成就しそうになったとき、彼女はためらい身をひきます。
ここで私は泣けてきます。
思慮深い、謙虚で深い慈愛の心のオデット。
恋から愛に変わっていくことを知っていながら、夢を夢の世界に
戻そうとするのです。
バルタザールの浮気妻が夫を迎えにくるシーン。
妻は「夫はいつも浮気をしていたわ」
するとオデットは彼女にこういうのです。
「男は、違ういい匂いのところに行ってしまうものよ。
私の夫もきっとそうしてたと思うわ。でも、最後には私の手を
とって私の胸の中で亡くなったのよ。愛してるわと心から幸せに
思ったものよ」と。
>ここで私、号泣。。。
お世辞にも孝行息子、娘といえない二人の子供達が本当に
母であるオデットに向かってなんともいえない表情をします。
そしてオデットは、愛するバルタザールを奥さんのもとに
返そうとします。
充分愛を子供達に注いできた美しい凛とした母の姿に私も心を
打たれました。
ファンタジーあり、少し変わっていて貧乏だけど愛情が豊かな
家庭と、どんな時もどんな変な隣人達にも侮蔑したりすることなく
同等に相手の思いを大切にするオデット。
オデット「彼女が私の心なのよ。」と語る「ジョセフィン・ベイカー」
の歌と心が見事にかぶっさっていきます。
ベルギー湾岸沿いの工業地帯にある下流階級のアパートが
彼女の自宅ですが、随所に悪趣味なところもあり、キッチュで
かわいいところあり、オデットが好んで着るコートやスカートが
どれもベビーピンクが効いててステキでした。
個人的に好きなシーンは・・・
ゲイの息子ルディ(美容師)にオデットがマニュキアを
塗ってもらいながら、ガールズトークするところ。
変な日本映画がテレビで流れて、日本通?のバルタザールが
「全く勘違いな翻訳だ」と酷評するところ。
>こんなこと、フランスではきっと多いのでしょう。
オデットがホイップしながらお菓子をつくろうとしているところ。
その姿が、スリップみたいなかっこにピンクのブラが見えかくれ
していて、そんな格好で玄関にもでちゃうの???
海に家族でいくときに、黄色のフィアットのルーフに思いきり
荷物を置くところ。
>フランスらしいリゾートの行き方だなあ。
いらないシーンや、監督が描きたい問題点などもきっと
あったのだろうなあと想像するシーンもあったのですが
私はこういうファンタジーで、これだけ誰かの為に幸せの
おすそ分けをしてくれるオデットにはずっと夢心地でいて
もらいたかったので満足です。
絶対、もう一度DVDでも観ます!!
多分、、、いえ、必ずこのサントラ盤買ってしまいそう。(笑)
予告編で観た
「ファクトリーガール」「ジェイン・オースティンの読書会」「パリ。恋人たちの2日間」もなんだかおもしろそうでした♪